砂中温度はウミガメの卵を育くむ大切な証し!

砂中温度を調べよう!

アカウミガメを砂浜環境の指標に!その2(砂中温度)

砂中温度を調べる器機

アカウミガメの卵は体験する温度で性比が決まる。

なぜ、砂中温度を計るのか?

2006年産卵巣の砂中温度

2008年度砂中温度

2010年度砂中温度

温度計測からみた砂浜の性質と能力(2011年度評価)

砂浜の温度分布環境を調べるため、温度計測は標準的な砂浜を選定し、設置位置は砂浜の汀線から一定の距離(約25~35メートル)を確保した後浜にあたる位置(A測点)と、さらに浜奥の約10メートル陸側の海浜植生が自生する二次砂丘(B測点)と2箇所に設置します。そしてウミガメの産卵巣の深さを参考に深度を3段階に変えて砂表から20cm、40cm、60cmの深さに温度計測機器(Onset社ティドビットv2)を各々設置し ました。計測間隔は30分で、5月の産卵開始時期から稚ガメ脱出時期限界の11月まで稼働させ計測記録を行っています。そこで、特に猛暑が続いた2010年度の計測結果を考察してみると2つの測点の温度変化に違いが見えてきます。計測当初は梅雨が長期化し、低温が続きましたが、7月中旬に梅雨が明けると外気温が36度を越えるような猛暑が続き、表層は日照量にほぼ準じて上昇しています。深度が深い60cmの計測器に於いて上昇は緩和されますが、それでも孵卵温度の上限34度近くと砂中深くまでの熱浸透が認められます。しかし、後浜(A測点)に設置した温度計測器は同調しつつも明らかに二次砂丘(B測点)と比べ温度差が認められました。特に盛夏にあたる期間に於いては後浜(A測点)が1~2度ほど低いことが示されています。すなわち猛暑時には後浜(A測点)が適切な孵卵温度が維持している傾向に比べ、二次砂丘(B測点)は日照量の上昇に比例して砂中温度が従順に上昇しているのです。湿度が把握されていない(※現時点では湿度を長期に渡って計測する術が無い)ことから水分がどれほど緩和しているか不明ですが、この結果は砂浜の水分含量が大きく砂中温度に関与しているのではと推測されます。2010年は現場に於いて、二次砂丘で産卵された産卵巣の孵化調査にて未孵化が多い傾向が見受けられました。孵化出来なかった卵を解体すると、80%は生育した状態で成長が止まった卵が通常より多く見受けられました。孵化後半にあたる8月中半から9月前半に何らかの影響を受けていることから、砂中の温度に因果関係がある可能性も推測されます。(注記1)また、脱出直前の稚ガメの状態で死亡している例も同様に認められています。死んだ稚ガメの外観には腐敗以外に異常が無く、砂表に比較的に近い浅い位置で見受けられたことから脱出を見計らっている状態で熱死した可能性があります。この事象は猛暑続きの特異な年度の特異な傾向と考えられます。 この結果は保護活動を行う立場からすると留意すべき課題を示しています。 今までの保護では単純に、波打ち際から距離を保つことで、流出や水没から免れるかと躊躇いもなく産卵巣の移植策を行っていましたが、今回のような猛暑が続く場合では移植策が必ずしも良い結果を導くとは言えないのです。当然ながら気象と砂浜の関係は複雑で未検証な項目も多く、水分含量を把握する必要があることは否めません。まだまだ計測調査や孵化調査を重ねて継続する必要がありますが、このように温度面を観察しただけでもウミガメの産卵は砂浜の機能を上手く利用していると推測されます。まさに種の生存戦略として砂浜を選んだと言えるのでしょう。そこで留意すべきは移植のように保護対象とする生物の生活環に安易に手を加えることが、決して種の保護に繋がるとは限らないという警鐘です。特にアカウミガメに於いては孵化場や稚ガメの放流会など過剰な関与の実態に、個体群の持続が考慮されていないばかりか、生物の生活環から大きく逸脱するといった多くの問題が指摘されています。やはり、保護活動は対象とする生物の視点で考える必要があります。

2011年度の砂中温度

2012年度砂中温度

2013年度砂中温度

2014年度砂中温度

2015年度砂中温度

2016temp

2016年 日平均気温、降雨量、日射量

 

そして、この砂浜環境を守るために!!