Research activities of the sandy beach and loggerhead turtle

アカウミガメと砂浜の調査活動


遠州灘のアカウミガメは、毎年5月くらいから上陸産卵を始め8月の末頃まで続きます。約60日間で孵化しますので、早いものだと7月中に産卵巣から子ガメが出て来ますが、この様にして調査活動は10月末まで行われます。
表浜ネットワークでは、アカウミガメだけに着目するのではなく、取り巻く環境、海浜という基盤が整ってこそ、希少な野生種が保たれると考えています。
アカウミガメは砂浜と密接な関係を持っています。その意味でも、アカウミガメは健康な海浜のアイコンとして着目しています。

アカウミガメが産卵に訪れる表浜海岸はどんなところ?
調査範囲は表浜の一定のエリア(豊橋海岸域の内、約10km)を対象として継続的に調査・研究を行っています。

アカウミガメを取り巻く砂浜環境の連鎖図

BeachCycle

 

アカウミガメは1シーズンに3〜4回に分けて、約300〜400個の卵を産みます。

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アカウミガメは産卵シーズン中は1〜4回は産卵を行います。1回の産卵ではおよそ、100個前後。シーズン中は数百個の卵を産むということです。
さらに最近の研究では、成体のアカウミガメは産卵に至までは2年ほど、間隔をあけていることが判って来たようです。(日本ウミガメ協議会)
産卵には、そうとうな体力を使うことから、栄養状態を整えるのに必要な期間と思われています。
孵化後の子ガメにとって、とても大切なのが、この興奮期(フレンジー)です。
ふ化して、砂中から脱出の段階で、この興奮期に入ります。もちろん、長時間にわたって興奮期が続いてしまうと、子ガメ自身が生命が危ぶまれます。
この興奮期はおおよそ、24時間程度、持続することが判っています。

孵化直後の子ガメが1週間で泳ぐ距離

子ガメにとって、産卵巣から這い上がるにはかなりの体力が必要ですが、海を目指し、そして捕食者の少ない海域に辿り着くまでには相当な体力を使います。生まれたばかりの子ガメはそうした体力を消耗できるだけの栄養分を持ち合わせ、1週間ほどかけて安全な海域まで泳ぎ続けます。
こうした子ガメの能力を「フレンジー」と言います。

アカウミガメにとって、最適な産卵環境とは
このように緩やかな傾斜の砂浜と海浜植生が豊かな砂丘。さらに表浜の場合は豊かな照葉樹林帯の丘陵と、アカウミガメが産卵・ふ化に最適な環境が残っています。

上陸シーズンの海岸の様子

上陸シーズンの砂浜の様子。
豊橋域の海岸です。冬の間の強い季節風によってこうした豊かな砂浜が形成されます。

浜崖の様子

浜崖の様子。
台風シーズンになると、この様に砂浜が削られる事もあり痩せ細った海岸となりますが、上記写真の様に、春には元の砂浜に回復します。

台風シーズン、ブロックが剥き出しに。

しかし、慢性的な河川からの土砂供給不足と、海岸の人工構造物の対策によって、砂浜の偏りが起きてしまった。

ブロックにより帰海出来なくなったアカウミガメ

砂浜が偏ってきたことで間接的に侵食の影響を受け、砂浜に埋まっていた消波ブロックが剥き出しになれば、この様にアカウミガメの行く手を阻み体力も喪失してしまいます。ブロックに沿って海への出口を何時間も探し彷徨った様子が足跡で分かります。

孵化シーズンには、子ガメにも同じ消波ブロックが目の前に立ちはだかります。

孵化シーズンには、同じ消波ブロックが子ガメの前に立ちはだかります。

ブロックの中に入り込んでしまった例です。

ブロックの中に入り込んでしまった例です。中央から少し左下に見える黒いものが子ガメです。既に死んでいます。その上に見えるのが子ガメの足跡です。ブロックによって海に辿り着けずに力尽きて死んでしまったのでしょう。

ゆるやかな砂浜

 

ここ10年間の海岸環境の変化は、弊団体が連携する豊橋技術科学大学の測量調査により、表浜海岸においては砂浜の減少には至っていない、むしろ豊かになっているとの調査結果が出ています。
心地良い春になると人々が海岸に集まり始め、広々とした砂浜を目にしますが、台風シーズンには一変した姿が見られます。一晩でその姿が一変すると言った変化の激しい表浜の砂浜は、冬の間に回復し、春には豊かな砂浜に戻ると言ったサイクルを繰り返しているのです。

私たちは、こうした自然の力が作るゆるやかな砂浜環境が必要であると考え、種の保護ではなく(種を含む)生息する場所を保全するという理念の元で、アカウミガメの調査を行っています。
砂浜は、干潟にも劣らない浄化機能がありますが、表浜については後背地の照葉樹林帯といくつもの小河川が栄養分を海に運び豊かな漁場をも形成し、そして海からも運ばれると言った物質交換が活発に行われているのです。
アカウミガメはこの様な条件を好み、古くから表浜海岸に上陸、産卵しますが、私たちは、いつまでもアカウミガメが訪れる海岸環境を維持していくことを使命とし、日々、調査活動を行っています。