Eco-tone

海岸の生命を支える植物(防人の植物)

海岸の生態系の様々なやりとりを垣間見ることが、判りました。しかし、海岸の生態系はそれだけでは成り立ちません。大きな立役者が存在しているのです。砂浜から砂丘にまで歩みを進めてみて下さい。まず、目にするのが濃い緑の砂丘を目にするでしょう。この砂丘を覆っている植物を一度、良く見てみて下さい。砂浜側から行くと、ちょうど、砂丘が波によって削られたようになっている部分(浜崖)が見えます。近寄って見ると砂丘を覆っている植物の根っこのようです。その根は四方に伸びて、木質の固い殻に覆われた根から、まるで毛細血管のように細かな根が拡がって、砂をしっかりと掴んでいるように見えます。まさにこの細かな根が、どうやら波からこの砂地を守ってきたようです。この砂丘を緑で覆っている植物はコウボウムギと呼ばれている海浜に適した植物(海浜植物)です。この名前の弘法とはまさに「弘法も筆の誤り」の弘法大師から来ており、この毛細な根を筆に見立てたというところからきているようです。このコウボウムギ、砂丘の上に目を移すとカールした長い葉が束になって、砂丘を覆うように拡がっています。この葉は固く、長いために潮にも強く、海岸で吹き荒れる風をも、長い葉が束ねることで弱める効果も出しているようです。このように根も殻に覆われ、葉も潮にも強くなっていることで、このように砂丘の最前線(海側に向かって)に進出できるようです。この自己で生息出来る環境を築くことが出来るコウボウムギのような植物が先に生えることで、その背後に他の植物が連なることが出来るのです。このような植物を先駆植物(パイオニアプラント)と呼んでいます。

コウボウムギ

さて、コウボウムギの繁茂している砂丘を良く見ると、長く伸びる葉の元に小さく黄色い花が目に付きます。その周りに肉厚の葉が砂表に近く、生えています。黄色い小花はハマニガナ、さらに肉厚の葉でも、色濃い緑でラッパ状の葉はハマヒルガオの葉。ピンク色のつぼみも見えています。その中でも異様な形の花から放射状にさらに緑色濃く、トゲ状になった葉をもつ植物はハマボウフウのようです。このようにコウボウムギの葉元に生えています。肉厚の幅の広い葉を拡げる事で、さらに砂の移動が妨げられ、自生する環境を安定させているようです。まさにコウボウムギの作りだした環境を上手く利用して、共存しています。?その砂丘上では海岸線から内陸に向かって徐々に植物の姿が変わってきます。少しずつ、背が高くなり、多様な植物相になってきます。(コウボウムギと棲み分けしている)コウボウシバ、オニシバ に加え、背がより高いイネ科のケカモノハシから、多様な形態を持つ植物、オカヒジキ、ツルナ、ハマダイコンと種類が徐々に増えて、この辺りからハマエンドウ、テリハノイバラは砂表面に沿って茎を伸ばして拡がっています。 そしてハマゴウ、トベラ、マルバグミなどの低木からカラスザンショウ、モチノキ、ヒメユズリハ、カクレミノなどの亜高木、タブ、シイなどの高木からなる丘陵の照葉樹林に繋がっていきます。このような植物のゆるやかな推移を「エコ・トーン」と呼んでおり、この植物の連続を利用して、小さな動物が丘陵の森から砂浜へと移動しているのです。特に海浜の植物は潮に強いという特性を持ち、他の植物が進出できない領域を自生の場所として選んでいます。

エコ・トーン
背後地の丘陵には照葉樹林帯
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